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    ロラン・サレス

     

    ロラン・サレス、農業技術士。フランス国立農業研究所(INRA, Institut National de la Recherche Agronomique-NOPA(le laboratoire de Neurobiologie de l'Olfaction et de la Prise Alimentaireの元研究所長である。彼は、10年間 NOPA(現NOeMI)の研究所長を務めた。

     

    彼の近年の研究は「電子鼻」に関しての研究である。この鼻は例えば病人の診断を可能にすると考えられている。実際に犬が癌患者の匂いを嗅ぎ分けられることは知られているが、匂いを用いた診断方法を他の病気の診断に用いるという話はまだあまり知られていなく、専門誌のみが、この手の題材を扱い始めているに過ぎない。現在用いられている洗練された技術に比べるとはるかに廉価であるこの技術は、必ずや発展するであろう。

     

    ロラン・サレスは、化学センサー(化学物質を探知する感覚器)に関連する研究の向上にも携わってきた。嗅覚と味覚にまつわる科学的発見は、アメリカや日本の研究者によるものが多く、これは、フランスと比べて研究者数が多いことに起因している。フランスが、農業大国であり、経済活動の基盤が食品産業、香水・コスメティック産業であることを考えると、これは矛盾した状態であるといえる。それゆえ、ロラン・サレスは、アロマグリ・クラブ(le club AROMAGRI)を8年間主導した。このクラブは、現在でも、フランスの化学センサー研究者の会合を企画し、研究者間の共同の思索・意見を交換しあう場を提供している。彼は2011年現在、化学センサー研究とその工業・農業への応用をまとめた本を編集している。

     

    ロランは、また、科学文化活動として、嗅覚を用いる劇場の活動に積極的に係わっている。香りを用いる劇場の制作には制約が多いが、香りを用いることで、演劇ではあとまわしになりがちな繊細さの表現に広がりをもたらしてくれる。ロランはこれまでに2つの「科学劇場」の創作に係わり、現在、KODOプロジェクトという枠組みの中で、これら嗅覚劇場が観客に与える感情的・美的インパクトについて研究しようとしている。

     

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    [1] 人口100万人に対してフランスでは1.5人の化学センサー関連研究者、アメリカでは2.75人、日本では6.5人が存在している。また、ドイツで多くの化学センサー関連研究者が存在しているにもかかわらず、ヨーロッパ全体では0.5人のみとなっている。

     

    [2] 2005年の農業(及び、林業、漁業)のフランス国内総生産量は2.2%、工業・農業は2.0%であった、どちらの関連分野も金属工業と同等の影響力を持つことになるが、金属工業は、自動車産業と比べても2倍のエネルギー消費を伴うことを指摘しておく。2008年の輸出総額は、60億ユーロ以上(フランスでの輸出第一位の産業分野は、世界の食品工業分野で輸出第三位の位置を占めている。)

     

    [3]コスメティック・バレーによると、フランスの香水・コスメティック産業界の売上高は、17Gユーロ、すなわち、1/4の世界総売上高に相当する(フランス産業界の第4位の輸出部門にあたる)。